国税庁の発表資料によれば、平成29事務年度の相続税の実地調査の結果は、以下のとおりです。
統計資料を見ると、次のことが分かります。
それでは、どのような相続財産が申告漏れと指摘されるのでしょうか?
申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等1,183億円(平成28事務年度1,070億円)が最も多く、続いて、有価証券527億円(平成28事務年度535億円)土地410億円(平成28事務年度383億円)の順となっています。
調査する側の視点に立てば、現金・預貯金等及び有価証券に申告漏れ相続財産が多く、調査の中心もここにおかれると言えます。なお、土地等の場合は財産の計上漏れが考えづらいため評価方法の誤りにより過少申告と認定されるケースと思われます。
税理士による調査立ち会いに関しても、精通している税理士は少ないのが現実です。
国税庁が公表した「平成29年分の相続税の申告状況について」によれば、相続税の申告書の提出に係る被相続人数(亡くなった方)は111,728人、税理士登録者数は、約77,873人(平成31月4末日現在)です。
このように相続税申告に携わっている税理士の数は、少ないのが現実です。
単純計算で7.7万人の税理士が11万件の相続案件を手がける計算です。
実際には相続を専門としている事務所もあるため、相続税の申告が年に1回あるかないかということになります。
さらに、税務調査となると相続税の申告件数のうちの約20%です。相続税の案件が少ない税理士は、5年に1件くらいしか相続税の税務調査を経験しないことになります。つまり、税務調査への対応は、税理士でもある程度経験が無いと対応できない業務となっています。
税務調査に際しては、原則として、税務署等から納税者に対し調査の開始日時、開始場所、調査対象税目(この場合は相続税の申告内容)、調査対象期間などが事前に通知されます。この場合、税務代理を委任した税理士に対しても同様に通知されます。
なお、納税者は、合理的な理由がある場合、調査日時の変更の協議を求めることができます。
ただし、税務署等が保有する情報から、事前通知をすると正確な事実の把握が困難になる、又は調査の適正な遂行に支障を来す恐れがあると認められる場合は、事前に通知せずに税務調査が行われることがあります。 (強制調査)
※相続税申告書に書面添付を行っている場合は、書面添付の項目をご参照ください。